その中3の男子は中2の頃から授業をしていたのですが、やればできるのにイマイチ自信のない様子。そして性格的には少しおちゃらけたところがあり、もう少し真面目に将来のことを考えてほしいと思ったこともあります。
中3になって少し勉強や受験に対して本気になったかとも思いましたが、それはご両親や私のような周囲の大人にいわれているからで、渋々やっているような感じもありました。ただスポーツで優秀な成績をおさめており、周りからも期待されている一面もあったのです。
そんな彼が、ある日突然泣き出したことがありました。普段からは想像できないほどの号泣ぶりで、突然のことに私もあっけにとられましたが、落ち着いたところで話を聞くと、「スポーツに勉強に…、そんな毎日が本当にキツイし、つまらない」というのです。
勉強を頑張らなくてはいけないことは理解しているが、スポーツでも結果を出さなくてはいけない。するとどちらも中途半端になり、時間だけが浪費されていくような感じに耐えられない。だったら最初から勉強かスポーツかどちらかに絞って、余った時間で楽しくゲームでもしていたかった。これが彼の本音でした。
正直、反論はできませんでした。「文武両道」といえば聞こえはいいですが、要は寝る時間以外すべてを勉強かスポーツに充てる生活をしているということ。今の大人たちは「ワークライフバランス」などといって仕事と個人の生活の調和を声高に叫びますが、現代の子どもたちこそ勉強や運動だけでなく自由な時間を持ち、楽しむことが重要になるでしょう。
塾で接するすべての子どもたちに対して同様のことがいえます。答えはまだ出ませんが、塾だから伝えられる「勉強することの大切さ」と合わせて、同じく大切なことを“確実に大切にしてもらうために”、どのように子どもと接していくべきかを考え、行動に移していきます。
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