中2の男子生徒。あまりやる気が感じられず、授業中もぼんやり。答えも適当で、ただ「授業に出ていればいい」というような雰囲気が彼にはありました。
授業をする中で、「塾に通う理由」「どういう結果を得たいのか」などをきちんと整理する必要があることを痛感。そこで対話を重ね、三者面談も行い、自習室の活用をすすめ、こちらは授業でできた時はしっかり褒めることを続けました。最初の頃のテストは決して高くはありませんでしたが、学校の授業やテストの話を自ら口にするようになり、小さな変化に希望を感じたのです。
やがて「今回のテストはいけるかもしれない」と前向きな言葉も出てくるように。次のテストに向け、解き方のコツを伝え、精一杯の激励をして送り出すと、テスト終了後、彼は授業のない夕方に突然塾に現れ、これまで取ったことのないような高得点の答案を誇らしげに見せてくれたのです。そして笑顔いっぱいに「自習して帰ります」とまでも。胸が熱くなりました。
最初は何を言ってもふわふわ漂っているような印象で、成果が見えるまで時間がかかると思っていました。でも、褒められると本当に嬉しそうな顔をする彼を見て、そうした機会がこれまであまりなかったのかもしれないと気づきました。
「できたことは褒める」―。その積み重ねが彼の中に自信を育て、行動を変えていったのでしょう。保護者からも「先生に褒められて喜んでいました」と聞いた時、この関わりが彼の力になっていたと実感できました。