テストの点数がなかなか伸びない男子生徒がいました。個別の授業中も「分からない」とよく言い、ちょっと目を離すとすぐに机に突っ伏して寝てしまうことも…。そこで今一度、彼の話をじっくり聞いてみることにしました。学校のこと、クラブのこと、家族のこと。勉強から離れ、とにかく話してくれる彼の言葉に耳を傾けました。

すると、わずかですが机に向かう姿勢に変化が見られました。ただ授業時間まるまるを集中して勉強することまでは難しかったので、折りに触れてコミュニケーションをとり続けました。そしてそこから意外な面や面白いキャラクターが垣間見えたため、勉強に限らず褒めることを意識して実践しました。

そこからだんだんと彼の様子が変わってきたのです。最初は意欲があまり感じられなかった授業態度でしたが、少しずつ質問をするようになりました。間違えても、どこがいけなかったのかをじっくり見直しをするなど、それまでには考えられなかった姿勢を見せるようになったのです。

そして迎えた次の定期テストでは、今までで一番良い点数を取り、とても印象的な笑顔を見せてくれました。その後も勉強への前向きな姿勢を維持し、５科の合計もそれまでの倍の点数を取るまでになったのです。

「人は変われる」とは思っていますが、本当に何がきっかけになるかわからないものです。ただ、こちらは正直に向き合い、どうすればサポートになるだろうかと考え、そのために確実に行動していければ、そうした場面にたくさん出会えることを実感しています。