中3になる前の春期講習から入塾してくれたK君という生徒がいます。バスケットボールクラブの強豪に所属していて、進学校志望という明確な目標がありましたが、合格には非常に厳しい現状であることを本人も理解していました。
それでもK君の「どうしても挑戦したい」という強い気持ちに触れ、私も「これこそがいずみ塾の役割(平均点からトップ校へ)だ」と感じ、4月から私が中心となって指導を行うことになりました。
非常に真面目で芯の強い生徒でしたが、半面、自分の考えを曲げず、周囲の意見をなかなか受け入れられないところもありました。そのため、まずは学力向上以前に、信頼関係を築くことを最優先に指導を進めました。
月日が経つにつれ、少しずつ信頼関係が築かれたのか、成績にも変化が表れ始めました。しかし同時にバスケで全国大会出場が決まり、本格的に受験勉強に集中できるのは12月以降になるという、非常に厳しいスケジュールとなりました。
クラブ活動引退後は、毎日自習室に通って黙々と勉強を続けました。しかし現実は甘くなく、結果は不合格となり、併願校への進学が決まったのです。
その後の春期講習は不合格の影響もあり、ご家庭からは通えないとの連絡をいただきました。私自身大変ショックを受けましたが、どうしてももう一度直接話をしたいと思い、保護者の方にお願いをしてK君と会う機会をいただきました。
そのときのK君の表情や、言葉にならない悔しさを前に、胸が締めつけられる思いでした。「この経験を次につなげてほしい」「まだ将来がある」という思いを必死に伝えましたが、K君の性格もあり、私の言葉はほとんど届いていないように感じました。
その場を後にしながら、私は「これで今まで築き上げた関係が崩れてしまった」と感じ、合格させられなかったこと、自分の思いだけを一方的に伝えてしまったことを深く後悔しました。
その後もこの経験を忘れることなく、仕事に向き合ってきました。そんな中、ある卒業生が挨拶に寄ってくれた際に、K君の近況を尋ねると、「今、K君はすごく勉強を頑張っているよ」と教えてくれました。
その言葉を聞いた瞬間、胸がいっぱいになりました。私の言葉が届いていたかは分かりません。それでも今、K君が前を向いて努力しているということが何よりうれしく感じられたのです。
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